AdobeRGBで写真を仕上げたい場合は多いでしょう。
AdobeRGB色空間のデータとして写真を仕上げる方法をご紹介します。
前置き なぜAdobeRGBで写真を作るか
sRGBではなくAdobeRGBで写真を完成させたい主な理由は、最終出力を行う機器類の色域がsRGBより広い場合が多いためです。
写真向きのインクジェットプリンターの色域はsRGBを超えているものが多いです。
JapanColor2011CoatedなどのCMYKのオフセット印刷の色域も色合いによってsRGBを超える部分もかなりあります。
液晶モニターに表示して鑑賞する目的なら、最終出力がモニター表示ということになりますが、液晶モニターはsRGBの色域を超えている機器が多数あります。
出力するデータもsRGBより色域が広いAdobeRGBで作ることで、最終出力を行う機器の色再現域を活かすことができるというのがAdobeRGBで写真を仕上げたい主な理由です。
青空の色の例
とある晴れの日に、人の目で見た青空の色がsRGB色空間で表現できない範囲の色で、AdobeRGB色空間ではギリギリ表現できる範囲の色だったとします。
この空を、カメラをsRGBモードにして撮影して、sRGB色空間でレタッチしてsRGBのデータとして完成させます。
完成したsRGBの写真をAdobeRGBの色域をカバーしているプリンターで出力したりモニターで表示しても、sRGBの色域でしか出力・表示できません。
同じ空を、カメラをAdobeRGBモードにして撮影する、またはRAWで撮影して現像ソフトからAdobeRGBで書き出してAdobeRGBのデータとして完成させます。
完成したAdobeRGBの写真をAdobeRGBの色域をカバーしているプリンターで出力したりモニターで表示したりした場合、AdobeRGBの色域で出力・表示でき、実際の空の見た目に近い色で再現できます。
前提になる知識 AdobeRGBを表示できるモニターがないとAdobeRGBのデータは扱いないのかどうか
AdobeRGBのデータを扱うならAdobeRGBの色域を表示可能なモニターが必要なのではないか、と思う人が多いでしょう。
AdobeRGBのデータの色を完璧に表示するためにはAdobeRGBの色域をカバーしているモニターが必要です。
しかし、AdobeRGBをカバーしていないモニターでもAdoebRGBのデータは扱えます。その場合データの色をモニターで完璧に表示することはできませんが、モニターの色域で正確に表示できるように色の変換をした上で表示されます。
詳しくは当事務所の以下のページなどをご参照下さい。
AdobeRGBで写真を仕上げる方法
方法1 カメラをAdobeRGBの設定にしてJPGで撮影する
デジカメのカラースペースの設定でsRGBとAdobeRGBが選べる場合、AdobeRGBに設定します。
撮影画質の設定などでJPEGに設定し、撮影します。
撮影した写真はAdobeRGB色空間で作成され、AdobeRGBカラープロファイルが埋め込まれたJPG画像として保存されます。
撮影後にレタッチする場合
撮影後にレタッチを行う場合は、AdobeRGB埋め込みのまま開いてレタッチし、AdobeRGB埋め込みのまま別のフォルダなどに保存すると、AdobeRGBのデータとして仕上がります。
(同じフォルダに同じファイル名でJPG保存すると当然ながら撮影した元データに上書きされてしまいます)
RAW現像ソフトを使ってJPG画像をレタッチする場合
RAW現像ソフトはたいていRAWデータの他にJPGなどの一般的な画像データも処理できるので、JPGで撮影した後にRAW現像ソフトでレタッチするケースもあるでしょう。
AdobeRGB埋め込み状態の撮影済みJPGデータをRAW現像ソフトに読み込みます。
RAW現像ソフトで設定している作業用色空間で普通にレタッチや調整を行います。
RAW現像ソフトからの画像書き出しの設定でカラースペースをAdobeRGBに設定し、画像を書き出します。
以上の操作でたいていは書き出した画像データはAdobeRGB埋め込みの画像データになります。
方法2 RAW現像ソフトからAdobeRGBで書き出す
カメラをRAWで撮影する設定にして撮影します。
RAW現像ソフトで設定している作業用色空間で普通に現像の操作をします。
RAW現像ソフトからの画像書き出しの設定でカラースペースをAdobeRGBに設定し、画像を書き出します。
以上の操作でたいていは書き出した画像データはAdobeRGB埋め込みの画像データになります。
RAW現像後にレタッチを行う場合
RAW現像後にAdobe® Photoshop®等の画像編集ソフトでレタッチを行う場合も多いでしょう。
例えばPhotoshopで追加のレタッチを行う場合、RAW現像ソフトからカラースペースをAdobeRGB、保存形式をPSDにして画像の書き出しをします。
書き出したデータはAdobeRGB埋め込みのPSDデータになっています。
(RAW現像ソフトの作業用色空間はProPhotoRGBになっていて、PSDもProPhotoRGBで書き出したいという場合はProPhotoRGBで書き出しても良いでしょう。)
(たいていはAdobeRGBで書き出してPhotoshopの作業へ移れば十分である場合が多いです。)
書き出したPSDファイルをPhotoshopで開いて、レタッチその他の作業をします。
完成したら保存します。
これでAdobeRGBの画像データの完成です。